債権、売掛金、貸金の回収

売掛金や貸金などを債権と言いますが、これらの債権を支払ってくれない場合の回収方法です。

債権回収着手前のチェック

貸金を返してくれない、また掛売りした売掛金を払ってくれないという場合、どういう方策で回収に臨むかということです。
景気の悪い昨今こういう問題もかなり発生しておりますが、債権の回収は債務者の性格や資金繰りなどを考慮します。また大事なことは、自分の債権に問題がないかもあわせて確認する必要があります。
そこで、債務者と回収の交渉となりますが、その際に妥協点を見つけての話し合いで解決できるのか、又は法的手段をとるのか判断が難しい場合があります。以下にそのポイントを見てみましょう。

債権の確認(時効は大丈夫か?)

債務者に支払の懸念が出てきたらまず自分の債権の確認をしなければなりません。日常的に取引を行っているとつい必要な手続きを忘れていたり、異例的なことの解消ができていなかったりします。
例えば、借用証書に印鑑がもれていたり、保証人の追加の約束がまだ実実行であったり、訂正印がもれていたりする場合は債務者との関係がまだ良好の内に解消しておかなければなりません。
次は、債権が消滅時効に掛かっていないか確認する必要があります。もし時効間際で有れば急いで内容証明で時効の中断をしなければなりませんし、もし時効期間が満了していれば、これも内容証明で請求をしてみることです。
うまくいけば、債務者が債務の承認をしてくれるかも知れませんのであきらめないで下さい。それともし借用証書もなしに金を貸していた場合は、できるだけ債務者との関係が良好の内に債務承諾書を取るようにしてください。関係がこじれると貸金を否認してくることは目に見えています。

債務者の調査

債務者の支払意志の問題ですが、性格や社会的地位といった事も確認しておいたほうが良いでしょう。その結果強行路線で行くかどうかの対応が変わることもあるでしょう。

債務者の資産状態の調査

債務者に不動産があれば、それを追加担保に取る事も考えられますし、さらに債権を持っている場合はその債権を差し押さえることも考えます。
ただし、差し押さえを掛けたため相手方から信頼がなくなり取引停止となって本当に倒産する場合がありますので慎重にする必要があります。

未払いの原因調査

事務的なミス(例えば請求書が届いていなかったとか)や、商品が契約通りに納品されていない等の理由で未払いという事もあります。
もちろん資金繰りがかなり窮屈な場合が多いと思われますが、そういった場合はすぐに内容証明を送りつけたほうが良いと思われます。

債権の回収

一般的な回収方法ですが、この通りにすれば100%回収できるというものでもありません。

話し合い

相手が話し合いにのってくればまだましです。
話し合いで解決しようと考える場合は、相手方の性格や態度、などをうかがいながら、相手にもメリットがあるような解決方法を考える必要があります。
例えば、一括払いを分割払いに変更するとか、返済額の軽減などもする必要があります。このように債務者もメリットや猶予を与えることで債権の回収が可能になる可能性もあります。
そして、約定変更などをした場合には、できるだけ、公正証書にして、更に強制執行認諾文言を記入しておくと、将来また支払が滞った場合に、裁判をせずに、公正証書によって強制執行ができるようになります。
一方、自分の債権が借用証書をとっていなかった場合は、この話し合いの段階で、債務承諾書をとっておくことです。こうすることで後々証拠が残りますし、また時効を中断することにもなります。

回収率を上げるには

話し合いの中で出来れば追加担保をしてもらうことや、社長以外の個人保証を連帯保証人として追加してもらうことが回収率を上げるためには必要です。

話し合いがうまくいかなかった場合

話し合いが決裂したり、はじめから話し合いの場を持つことが出来ない場合は、法的手段を使うという事になります。まずは、裁判以外の回収方法を検討します。

「内容証明郵便」の利用

ここで内容証明郵便を使う意味は、絶対に回収するという強い意思を相手に伝えることと、相手方に強い心理的なプレッシャーを与えることにあります。
また、内容証明郵便は費用の面でも割安ですので、請求額が少ない場合でも使いやすいという利点があり、請求した事が証拠に残るという点も後々役立つ事があります。

「支払督促」

支払督促は裁判所を利用して債権回収を図る制度です。(別ページで説明あり)

最終的には裁判

最後的には裁判所を利用して債権の回収を図ることになります。この段階まで来て考慮が必要なことは、裁判は費用が掛かるという事です。
費用対効果を十分考慮しなければ、費用倒れになってしまう可能性があります。
相手側に再建の可能性がない場合は、債権放棄も念頭に置く必要もあります。債権放棄をする場合は税務署対策として債務者に内容証明で通知してください。
ただ60万円以下の金銭債権の請求の場合通常の訴訟を起こすのは割に合わないので、小額訴訟という制度があります。

このページの先頭へ